
「電話が鳴ったから、今やっていた仕事が止まってしまった」「営業時間が終わってから電話が来たけれど、誰も出られなかった」——地方の小さな会社で働いていると、こんな場面に毎日のように出会います。
実は、予約電話の対応はAIに任せられる時代になりました。しかも、特別なIT知識はいりません。この記事では、スタッフが1〜10名くらいの小さな会社が、AIを使って予約電話の負担を「月20時間」減らすやり方を、やさしくお伝えします。
なぜ予約電話の対応が、地方の小さな会社の時間を奪うのか
「電話くらい誰でも取れる」と思っていませんか?でも実は、電話対応は会社の中でいちばん「見えない時間」を奪っている仕事です。
1日の電話時間を、実際に計算してみる
たとえばスタッフ4人の小さな会社で、1日に予約や問い合わせの電話が10件かかってくるとします。1件あたり3分話したとして、それだけで1日30分です。
ところが本当の負担はそれだけではありません。電話に出るたびに、それまでやっていた仕事が止まります。集中していた手を止めて電話を取り、終わったらまた元の仕事に戻る——この「集中の切り替え」だけで、1件につき5分くらい余分に時間がかかると言われています。
つまり実態は1日30分の電話対応 + 50分の集中切り替えロス = 約1時間20分。1か月(22営業日)で計算すると約30時間がここで消えています。

電話対応が、ほかの仕事を止めてしまう
電話の本当に困るところは、こちらの都合に関係なく鳴ることです。お客様にメールを書いている途中、見積書を作っている途中、スタッフ同士で打ち合わせしている途中——すべて止まります。
とくにスタッフ1〜10名くらいの会社では、1人が電話を取ると会社全体の仕事が止まります。電話番のためだけに人を雇うのは現実的ではないので、結局「いま手が空いている人」が出ることになり、誰の作業効率も上がらないという悪循環に陥ります。
営業時間外の電話を逃す = お客様を逃している
もう一つ大きな問題があります。営業時間が終わったあとの電話には、誰も出られないということです。
美容室や飲食店、修理業のように夜や休日に予約したいお客様が多い業種では、営業時間外にかかってきた電話の8割は二度とかかってきません。お客様は「いま電話に出てくれた他のお店」を選びます。逃したお客様の数は、見えないので誰も気づきませんが、確実に積み上がっています。
「AIが電話に出る」って本当?仕組みをやさしく解説
「AIが電話に出る」と聞くと、難しそうに思えるかもしれません。でも仕組みはとてもシンプルです。

AIが電話を取る2つのやり方
大きく分けて2つの方法があります。
(1) AIが直接 電話に出る方法
お客様が電話をかけると、AIが「はい、〇〇店です」と応答します。お客様の話を聞いて、予約日時を確認し、システムに登録します。すべて自動です。
(2) 「電話よりLINEで連絡してください」と案内する方法
電話がかかってきたら、AIが「予約は公式LINEから簡単にできます」と案内し、SMSでLINEのURLを送ります。お客様はLINEで予約します。これも電話番が要らない仕組みです。
どちらが良いかは、お客様の年齢層や業種によって違います。高齢のお客様が多ければ(1)、若いお客様が多ければ(2)、というのが一つの目安です。
AI電話の3つの強み
AIに電話を任せると、人間にはできないことが3つできるようになります。
強み1:24時間365日 対応できる
AIは寝ません。深夜2時の電話も、お正月の電話も、同じように受けます。営業時間外の電話を逃さなくなります。
強み2:聞き間違いが起こらない
人間は疲れると聞き間違いをします。「3時」を「7時」と聞き間違えて、お客様を待たせてしまった経験はありませんか?AIは何百件 受けても精度が落ちません。
強み3:会話の中身が文字で全部残る
これが意外と大きな効果です。AIは会話を自動で文字に変換してくれるので、「あのお客様、何時に予約したんだっけ?」と聞き返す必要がなくなります。データが自動で蓄積されるので、後で「うちのお客様はどんな悩みで電話してくることが多いか」を分析することもできます。
「お客様に冷たくない?」は誤解です
「AIが電話に出ると、お客様に失礼じゃないか」と心配される方が多いのですが、これは半分は誤解です。
たしかに、最初の数年前のAI電話は機械っぽい声でしたが、いまのAIはとても自然に話します。お客様によっては「人間か AI か気づかなかった」と言う方もいます。それより、営業時間外でも電話に出てくれることの方が、お客様にとっては嬉しいというデータが出ています。
月20時間減らすには、何をすればいい?4ステップで始める
では、実際にどうやって始めればいいのでしょうか。難しく考えず、4つのステップで進めます。

ステップ1:今の電話の中身を1週間 メモする
まず、いまの電話がどんな内容か知ることから始めます。1週間だけ、電話のたびにメモを取ります。
- 何時にかかってきたか
- どんな用件か(予約/変更/キャンセル/質問/その他)
- 何分くらい話したか
このメモを取るだけで、自分の会社が「どの時間帯に・どんな電話が・何件来ているか」が分かります。データを取らずにいきなりAI導入を考えると、何を自動化すべきか分かりません。1週間のメモが、すべての出発点です。
ステップ2:自動化できる電話とできない電話を分ける
1週間のメモを見ると、電話の内容は大きく2つに分かれることが分かります。
自動化しやすい電話:
予約・予約変更・キャンセル・営業時間の問い合わせ・場所の問い合わせ。これらはほぼ毎回同じパターンなので、AIが得意です。
人間が出るべき電話:
クレーム・複雑な相談・新規取引の打ち合わせ。これらは状況が毎回違うので、人間のほうが向いています。
多くの会社では、電話の7〜8割が自動化しやすい電話です。つまりAIに任せることで、本当に人間が出るべき電話に集中できるようになります。
ステップ3:AI電話サービスを1つ選ぶ
AI電話のサービスはいくつもあります。月額3,000円〜くらいから使えるものもあれば、機能が豊富で月額1万円〜のものもあります。最初は安いプランで十分です。
サービスを選ぶときの3つのチェックポイント:
- 無料お試し期間があるか(最低2週間 試せるかどうか)
- カレンダーや予約システムと連携できるか(Google カレンダーや既存の予約サイトと繋げられるか)
- 会話の記録を文字で残してくれるか(後で見返せるかどうか)
※具体的なサービス名はここでは挙げませんが、検索エンジンで「AI 電話 自動応答 中小企業」で調べれば、複数の候補が見つかります。
ステップ4:1〜2週間 お試し運用してみる
サービスを選んだら、いきなり本格運用ではなく、1〜2週間のお試し運用からスタートします。最初は「営業時間外の電話だけAIに任せる」など、範囲を絞ります。
お試し期間が終わったら振り返ります。
- お客様からのクレームはなかったか
- 予約の取りこぼしはなかったか
- スタッフの作業時間はどれくらい減ったか
このサイクルを2〜3回まわすうちに、自分の会社にちょうどいい使い方が見えてきます。

導入する前に知っておきたい、3つの不安と答え
実際に導入を考え始めると、多くの方が同じような不安を持ちます。よくある3つの不安に、ありのままお答えします。
不安1:高齢のお客様が嫌がるのでは?
これは業種とお客様の年齢層によります。70代以上のお客様が多い業種(理美容・整骨院・地域密着の小売など)では、最初の半年は営業時間外だけAIに切り替えるのが安全です。営業時間内は今まで通り人間が出て、夜間・休日のみAIが対応します。これなら「電話に出てもらえなかった」というクレームが起こりません。
不安2:費用が高くて元が取れない?
月額3,000円のプランでスタートした場合、削減できる時間が月10時間あれば、時給換算で十分に元が取れます。仮にスタッフの時給が1,200円とすると、月10時間の削減は月12,000円分の人件費削減に当たります。費用3,000円を引いても月9,000円のプラスです。
※ただし、業種・電話件数・スタッフ人件費によって効果は変わります。お試し期間で「自分の会社の場合はいくら浮くか」を実測してから本契約するのが安全です。
不安3:途中で止めたくなったら戻せる?
多くのAI電話サービスは月単位の契約です。合わなければ翌月に解約できます。長期契約を求めるサービスは避けるのが鉄則です。
また、もし途中で「やっぱり人が出たほうがいい」となっても、いつでも戻せます。電話番号を変える必要はなく、AIをオフにするだけです。リスクは小さいので、まずは試してみることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. AIが電話に出ても、お客様に失礼にならない?
最近のAIは自然な会話ができるので、お客様が違和感を覚えることはほとんどありません。それより、営業時間外も電話に出てくれることのほうがお客様には嬉しいというデータが出ています。心配な場合は、最初は営業時間外だけAIに任せる運用がおすすめです。
Q2. 月にいくらかかる?最低価格は?
シンプルなAI電話サービスは月額3,000円前後から始められます。機能が豊富なものは1〜3万円程度です。最初は安いプランで十分なので、まずは月3,000円のプランで始め、必要になったら上のプランに変えるのが無駄がありません。
Q3. ITに弱いスタッフでも使える?
導入時の設定(電話番号の連携・営業時間の入力など)は最初の1回だけです。それも、ほとんどのサービスは画面の指示どおりに進めれば30分〜1時間で終わります。日常の運用では、スタッフは何もしません。普段どおり仕事をしているだけで、AIが裏で勝手に電話を受けてくれます。
まとめ:今日からできる、小さな一歩
予約電話を AI に任せると、地方の小さな会社でも月20時間以上の業務時間を減らせる可能性があります。年間にすれば240時間——スタッフ1人分の1.5か月分の労働時間に相当します。
始めるための小さな一歩は、たった1つ。今週1週間だけ、電話のメモを取ってみること。これだけで、自分の会社のどこが時間を奪われているかが見えてきます。あとは1か月3,000円から試せるサービスで、お試し運用を始めるだけです。
「うちみたいな小さな会社にAIなんて関係ない」と思っていた方こそ、いちばん効果が大きい可能性があります。中小企業ほど一人ひとりの時間が貴重だからです。
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この記事は「中小企業のIT入門」シリーズの一部です。全体の俯瞰と6か月のロードマップは、ピラー記事へどうぞ。
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📚 参考データ・出典
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※この記事は地方の中小企業(スタッフ1〜10名規模)を想定して書いています。導入効果は業種・電話件数・スタッフ人件費によって異なります。月20時間という削減目安は、典型的な小規模事業者の電話件数(1日10件前後)を想定したものです。

