
プレゼンテーション資料の作成は、多くの経営者にとって時間のかかる作業の一つです。しかし、AIを活用することで、この作業を効率化できる可能性があることがわかりました。当社では実際にAIエージェントチームと連携して、様々なプレゼンテーション資料を作成し、その過程で効果的なワークフローを確立しています。
AIスライド作成の基本ワークフロー設計

AIにスライド資料を作らせる際の最も重要なポイントは、明確なワークフローの設計です。当社では、以下の5段階のプロセスを確立しています。
まず、資料の目的と対象者を明確に定義します。投資家向けのピッチデッキなのか、顧客向けの提案書なのか、社内報告用の資料なのかによって、AIへの指示内容が大きく変わります。実際に、当社のAI経営参謀が作成した月次報告書では、この目的設定により作成時間の短縮効果を実感しています。
次に、コンテンツの構造を設計します。AIは与えられた情報を整理して構造化することは得意ですが、戦略的な構成を考える際は人間の判断が必要です。特に、聞き手の心理的な流れを考慮したストーリー設計は、事前に設計図を作成しておくことが重要です。
第三段階では、AIに具体的なスライド内容を生成させます。ここでポイントとなるのは、プロンプトの精度です。「売上向上について説明するスライドを作って」という曖昧な指示ではなく、「前年度比の売上向上を達成した要因を、それぞれ具体的なデータとともに1スライドずつ説明する資料を作成してください」といった具体的な指示が効果的です。
効果的なプロンプト設計のコツ

AIにスライド資料を作らせる際のプロンプト設計には、いくつかの重要なコツがあります。当社での実践経験から、特に効果的な手法を紹介します。
まず、「ペルソナ設定」が極めて重要です。AIに対して「あなたは経験豊富なプレゼンテーション専門家です」といった役割を明確に与えることで、出力品質の向上が期待できます。当社では、AI SEO担当に資料作成を依頼する際、「あなたはデジタルマーケティングに精通したコンサルタントとして、クライアント向けの提案資料を作成してください」という設定を行っています。
また、「制約条件の明示」も重要な要素です。スライド枚数、文字数、使用する色彩、フォントサイズな、具体的な制約を与えることで、より実用的な資料が生成される傾向があります。実際に、当社のA事業担当AI経営参謀が作成した顧客向け提案資料では、「10スライド以内、各スライドの文字数は50文字以下、グラフは必ず含める」という制約を設けることで、簡潔で分かりやすい資料の作成を試みています。
「段階的な指示」も効果的な手法です。一度にすべてのスライドを作らせるのではなく、まず全体構成を作らせ、それを確認・修正してから各スライドの詳細を作成させる方法です。これにより、一貫性のある資料を効率的に作成できる可能性があります。
資料のクオリティを向上させる反復改善プロセス

AIが生成したスライド資料は、そのまま使用するのではなく、段階的な改善プロセスを経ることで品質を向上させることが可能です。当社では、3段階の反復改善プロセスを採用しています。
第一段階は「構造レビュー」です。生成された資料全体の論理的な流れ、各スライド間のつながり、重複や抜け漏れがないかを確認します。当社の分析担当AIと協力して、この構造レビューの自動化に取り組み、一次チェックの効率化を図っています。
第二段階は「コンテンツ改善」です。各スライドの内容について、より具体的なデータの追加、表現の改善、視覚的な要素の最適化を行います。特に、グラフや図表の効果的な配置は、AIの提案を基に人間が最終調整を行うことで、より訴求力の高い資料になる可能性があります。
第三段階は「プレゼンテーション最適化」です。実際に発表する状況を想定し、話すタイミングに合わせたスライドの調整、アニメーション効果の設定、配布資料用の調整などを行います。この段階では、AIの提案を参考にしながら、最終的には人間の判断で調整することが重要です。
チーム連携によるスライド作成の自動化

当社では、複数のAIエージェントが連携してスライド資料を作成するワークフローを確立しています。この自動化により、作業時間の短縮効果を実感しています。
具体的なワークフローでは、まずAI経営参謀が資料の基本構成を設計し、それを受けてSEO担当AIがキーワード最適化の観点から内容を精査します。その後、営業担当AIが顧客視点での改善提案を行い、分析担当AIがデータの妥当性をチェックします。最終的に、経理担当AIが数値データの整合性を確認するという流れです。
この連携ワークフローの鍵となるのは、各AIエージェント間の情報共有システムです。Cloud Runを活用した自動化基盤により、各段階での作業結果が自動的に次の担当者に引き継がれ、人間の介入なしに一次完成まで進行する仕組みを構築しています。
また、品質管理の観点から、各段階での成果物を自動でバックアップし、必要に応じて前の段階に戻れるバージョン管理システムも導入しています。これにより、試行錯誤を重ねながらより良い資料を作成することが可能になりました。
業種別・目的別のカスタマイズ手法

スライド資料の作成において、業種や目的に応じたカスタマイズは極めて重要です。当社では、様々な業種のクライアント向けに資料を作成した経験から、効果的なカスタマイズ手法を体系化しています。
B2B向けの提案資料では、ロジカルな構成と定量的なデータを重視したプロンプト設計を行います。「ROI計算を含む効果予測」「競合比較表の作成」「導入スケジュールの詳細化」といた要素を必須項目として設定することで、意思決定者に響く資料の作成を目指しています。
一方、B2C向けの資料では、感情に訴える要素を強化したプロンプトを使用します。「顧客の課題に共感する導入部分」「ビフォーアフターの視覚化」「お客様の声の効果的な配置」などを重視し、購買行動を促進する構成を心がけています。
社内向けの報告資料では、簡潔性と行動指針の明確化を重視します。当社の月次レポートでは、「現状分析・課題抽出・改善提案・次月アクション」の4部構成を基本とし、各セクションを2〜3スライドに収めるよう設定しています。この結果、会議時間の短縮と意思決定の迅速化に寄与していると考えています。
結論

AIにスライド資料を作らせるワークフローの確立により、資料作成の効率性と品質の両方を向上させることが期待できます。重要なポイントは、明確なプロセス設計、効果的なプロンプトエンジニアリング、継続的な改善サイクル、そしてAIエージェント間の連携システムの構築です。
当社での実践結果では、従来の手作業による資料作成と比較して、作成時間の短縮効果を実感しながら、より一貫性があり説得力の高い資料を作成できるようになりました。特に、定型的な報告資料については、高度な自動化を実現し、人間はより戦略的な判断に集中できる環境の構築を進めています。
今後は、音声入力との連携や、リアルタイムでのプレゼンテーション支援機能の開発など、さらなる自動化の可能性を探求していく予定です。AIを活用したスライド資料作成は、単なる効率化ツールを超えて、ビジネスコミュニケーション全体を変革する可能性を秘めています。
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1974年長崎県生まれ。2006年に起業し、理美容室・アパレル・不動産事業を展開。その後ITコンサル会社も設立。2025年、3社目となるai株式会社を設立し、AIエージェントによる会社運営を実践中。非エンジニアながらClaude Codeを経営の右腕として活用し、SEO・広告運用・レポート自動化・顧客管理を全てAIチームで運営している。20年間の経営経験から得た知見と、AI活用の実体験をもとに発信。

