
はじめに|生成AIの社内ルールは分厚い規程書でなくていい
実態レポート第5章では、地方の中小企業が生成AIを試験導入する際につまずきやすい「ルールがないまま使い始める問題」を扱いました。今回はその続編として、スタッフ1〜10名の小さな会社が最初に決めるべき社内ルールを、A4一枚に収まる具体的な項目に落とし込みます。難しい規程を作る必要はありません。まずは最低限の合意事項を紙一枚にまとめ、全員で共有することから始めます。
なぜ小さな会社ほど社内ルールが必要なのか
スタッフ数が少ない会社ほど「口頭で伝えれば十分」と考えがちですが、生成AIの使い方は人によって解釈が分かれやすい領域です。例えば、あるスタッフは顧客名を含めて質問文を作り、別のスタッフは架空の名前に置き換えて使う、といった具合にばらつきが生じます。ルールがない状態では、誰がどこまで入力してよいのかの判断が個人任せになり、情報の扱い方に差が出てしまいます。
口頭ルールが崩れる典型パターン
口頭での申し合わせは、繁忙期や新しいスタッフの入社時に形骸化しやすいという特徴があります。例えば、経営者が「個人情報は入れないように」と伝えていても、新しく入ったスタッフにはその申し合わせが伝わっておらず、業務効率を優先して顧客情報をそのまま入力してしまう、という状況が起こり得ます。紙一枚のルールがあれば、入社時に渡すだけで同じ説明を毎回口頭で繰り返す手間を省けます。
A4一枚にする理由
規程書を分厚くすると、誰も読まなくなるというのが小さな会社の実情です。A4一枚であれば、休憩室に貼る、共有フォルダのトップに置く、LINE WORKSのノート機能に固定するなど、日常的に目に入る場所に置いておけます。読まれることを前提にした分量に収めることが、ルールを機能させる第一歩です。
判断に迷ったときの相談先を先に決めておく
ルールを作っても、実際の業務では判断に迷う場面が必ず出てきます。例えば「取引先の会社名だけなら入力してよいか」といった細かい判断は、事前にすべて文章化しておくことは難しいものです。そこで、迷ったときに誰に確認すればよいかをあらかじめ決めておくと、スタッフが自己判断で入力してしまう前に立ち止まる習慣ができます。小さな会社であれば経営者本人を相談先にし、確認の連絡はLINE WORKSのトークで完結できるようにしておくと、確認のハードルが下がり、結果としてルール違反も減らせます。

最初に決める7項目とは何か
生成AIの社内ルールとして最初に決めるべき項目は、多くても7つに絞り込みます。項目が多すぎると読まれなくなるため、優先度の高いものだけを残します。以下は代表的な7項目の例です。
7項目の具体的な内容
①利用してよいツール名を明記する、②入力してはいけない情報の種類を列挙する、③生成された文章や画像を外部に出す前に人が確認する、④利用ログや履歴を誰が確認できるか決める、⑤問題が起きたときの報告先を決める、⑥私的な利用と業務利用の線引きをする、⑦ルールの見直し時期を決める、という構成にすると実務に即した内容になります。例えば見直し時期を「半年に一度」と決めておくと、ツールの機能変化に合わせてルールを更新しやすくなります。
項目を絞り込む際の優先順位
7項目すべてを一度に完璧に運用しようとすると負担が大きいため、最初は「入力してはいけない情報」と「確認する人」の2項目だけでも先に固め、残りは運用しながら追記していく方法も現実的です。例えば従業員が3名程度の会社なら、経営者自身が確認役を兼ねる形にして、まずは最小限の体制で始めることができます。
7項目を書き出す際の具体的な言い回し
項目を紙に書く際は、抽象的な言葉ではなく、誰が読んでも同じ行動を取れる言い回しにすることが大切です。例えば「情報は慎重に扱う」ではなく「顧客名・電話番号・契約金額は入力しない」と書く、「確認してから使う」ではなく「外部に出す前に経営者が目視で確認する」と書く、といった具合に、動作として再現できる文にします。この言い換え作業を7項目すべてで行うと、A4一枚でも実務で機能するルールになります。

禁止情報リストの作り方
7項目の中でも最も重要なのが「入力してはいけない情報」を具体的に列挙した禁止情報リストです。抽象的に「個人情報を入れない」と書くだけでは、何が個人情報に該当するのか判断がぶれます。リストには具体的な項目名を並べることが重要です。
禁止情報リストに入れる項目例
例えば、顧客の氏名・住所・電話番号、取引先との契約金額、従業員の給与情報、社内の人事評価に関する記述などを具体的に列挙します。個人情報保護委員会が公表している「個人情報保護法についてのガイドライン」では、氏名や連絡先などが個人情報に該当する例が示されており、こうした公的な定義を参考にリストを作ると社内での説明もしやすくなります(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」)。
禁止情報を伝える際の工夫
禁止情報リストは文章で書くよりも、表形式にして「情報の種類」と「理由」を並べると理解が早まります。例えば「顧客名」「守秘義務契約があるため」のように、なぜ禁止なのかを一言添えると、スタッフが自分で判断する場面でも応用が利きやすくなります。
| 情報の種類 | 入力を避ける理由 |
|---|---|
| 顧客の氏名・住所・電話番号 | 個人情報保護の観点から外部送信を避ける |
| 取引先との契約金額 | 守秘義務契約に抵触する可能性がある |
| 従業員の給与・評価情報 | 社内の人事情報であり社外持ち出しに該当する |
| 社内の未公表の経営情報 | 情報漏えいにより経営判断に影響する可能性がある |
迷いやすい情報の判断基準
実際の業務では、表に載っていない情報の扱いに迷う場面も出てきます。そのときの判断基準として「その情報が外部に出た場合、取引先や顧客に説明できるかどうか」を基準にすると考えやすくなります。例えば、社内の会議で出た改善案の要旨程度であれば説明できることが多い一方、特定の顧客とのやり取りの詳細は説明が難しいため入力を避ける、といった線引きをスタッフ全員で共有しておくと、リストにない情報が出てきたときにも対応しやすくなります。
7項目をA4一枚にまとめる手順
項目と禁止情報リストが決まったら、実際にA4一枚のフォーマットに落とし込みます。手順としては、まず紙を上下2段に分け、上段に7項目の見出しと一行説明、下段に禁止情報リストの表を配置する構成が読みやすくなります。
作成の具体的な流れ
例えば、まず箇条書きで7項目を書き出し、それぞれに一文だけ説明を添えます。次に禁止情報リストを表にして下段に配置します。最後に、経営者とスタッフ全員で一度読み合わせをして、分かりにくい表現がないか確認します。この読み合わせの工程を省略すると、後から「そんなルールは知らなかった」という食い違いが生じやすくなります。
運用開始後の見直し方
ルールは一度作って終わりではなく、運用しながら手直しする前提で考えます。例えば、実際に使ってみて「取引先名も禁止情報に入れるべきだった」と気づいた場合は、次の見直し時期を待たずにその場で追記し、全員に共有する運用にすると実態に即したルールへと育っていきます。
読み合わせの際に確認しておきたいポイント
読み合わせをする際は、ただ読み上げるだけでなく、スタッフそれぞれに具体的な業務の場面を想定してもらい、「この場合はどう対応するか」を口頭で答えてもらう形式にすると理解の定着度が上がります。例えば「見積書の下書きを生成AIに作らせたいとき、取引先名はどう扱うか」といった質問を投げかけ、実際にリストを見ながら答えてもらうことで、紙に書かれた内容が実務の判断基準として機能するかどうかを確認できます。読み合わせの日付を紙の余白に記録しておくと、次の見直し時期の目安にもなります。

よくある質問
Q1. 社内ルールは誰が作ればいいですか。
スタッフ数が少ない会社では、経営者自身が最初の案を作り、スタッフと一緒に読み合わせをしながら修正していく方法が現実的です。全員で一から議論すると時間がかかるため、たたき台を用意してから意見を集める流れが向いています。
Q2. 禁止情報リストはどのくらいの頻度で見直すべきですか。
目安として半年に一度は見直すとよいでしょう。ただし、実際に情報の扱いで迷う場面があった場合は、見直し時期を待たずにその都度追記していく運用が実態に合っています。
Q3. LINE WORKSでルールを共有する場合、どこに置けばいいですか。
ノート機能やアルバム機能を使ってA4一枚のルールを固定表示しておくと、スタッフが必要なときにすぐ確認できます。トークルームに流すだけだと、後から見返しにくくなる点に注意が必要です。
Q4. 7項目すべてを最初から決められない場合はどうすればいいですか。
最初は「入力してはいけない情報」と「確認する人」の2項目だけでも構いません。残りの項目は運用しながら少しずつ追記していく方法でも、ルールとして機能します。
まとめ
- 生成AIの社内ルールは分厚い規程書ではなくA4一枚で十分機能する
- 最初に決める項目は7つに絞り、優先度の高いものから運用を始める
- 禁止情報リストは抽象的な表現を避け、具体的な情報の種類と理由を表にする
- 迷ったときの相談先と判断基準を事前に決めておくと自己判断のリスクを減らせる
- ルールは一度作って終わりではなく、半年に一度、または気づいたタイミングで見直す
- 作成後は必ずスタッフ全員と読み合わせをして、具体的な場面で答えてもらいながら理解を確認する
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この記事の作り方 本文はAIが下書きを作り、当社代表が内容を確認・修正したうえで公開しています。図版の一部もAIで生成しています。当社はAIを業務に組み込んで経営している会社で、記事もその実践の一部です。
