
AIに記事の下書きを書かせて公開している会社は増えました。当社もそうです。ただ、AIが書いた「操作手順」の記事には、時間がたつと手順そのものが古くなるという弱点があります。
2026年10月、当社の記事「インスタのMeta AIの使い方」を、AIに実機のタブレットを操作させて確かめました。すると、半年前に書いた手順が、もう画面と合っていませんでした。しかもその記事は、連載10話の中で一番読まれていた回でした。
この記事では、何が古くなっていたのか、AIにどう確かめさせたのか、直すときに何を決めたのかを、そのまま書きます。AIで記事や業務マニュアルを作っている経営者の方が、自社の「古くなった手順」を見つける参考になれば幸いです。
半年で手順が古くなっていた
記事に書いていた手順
2026年4月に公開した連載「SNS×AI実践編」の第2話では、InstagramでMeta AIを呼び出す方法を「虫眼鏡の検索タブを開くと、一番上に青い『Ask Meta AI』のバーがある」と案内していました。公開当時に確認した情報をもとに、AIが下書きし、当社が確認して公開したものです。
実機の画面はこうだった
2026年10月4日、当社の配信用アカウントを入れたタブレットで確かめたところ、検索タブの検索窓には「検索」としか書かれておらず、Meta AIの入口はありませんでした。入口は、メッセージ(DM)画面の検索窓「検索する、またはMeta AIに聞く」に移っていました。念のため、別の端末・別のアカウントでも確かめましたが、結果は同じでした。

間違った手順が読まれていた
Search Consoleで直近90日を見ると、この回はMeta AI連載の中で最も多くGoogle検索から読まれていました。つまり、手順が古くなってから気づくまでの間、少なくない人が「青いバーが見つからない」画面を前にしていた可能性があります。
AIに実機を確かめさせた方法
何をつないだか
使ったのは、配信用に用意しているAndroidタブレット1台と、手元のスマートフォンです。どちらもパソコンとUSB、または無線でつなぎ、パソコン上のAI(当社はClaude Codeを使っています)から画面の読み取り・タップ・スクリーンショットができる状態にしました。特別な機材は使っていません。
AIにやらせた3つのこと
- 記事の主張を抜き出す:10話それぞれから「どの画面の、どのボタンを押す」と書いてある箇所を一覧にする
- 実機で1つずつ照合する:アプリを開き、画面に表示されている文字を読み取り、記事の記述と合っているかを判定する
- 証拠を残す:合わなかった箇所は、画面の文言とスクリーンショット、アプリのバージョンを記録する
Meta AIに実際に質問を送る確認では、「長崎の美容室で、秋の髪色について投稿したい」のような架空のデモ文面だけを使いました。お客様の情報や社内の情報は一切入れていません。
人がやったこと
判断が要る部分は人が決めました。具体的には、①どの端末・どのアカウントで確かめるか、②規約上の扱いをどう考えるか、③記事をいつ・どう直すか、の3つです。AIが優秀でも、「やってよいか」を決めるのは経営者の仕事だと考えています。
見つかった食い違いと直し方
10話を照合した結果
第2話以外にも、実機と合わない回が見つかりました。
| 状態 | 内容 |
|---|---|
| 入口が移っていた | 第2話:検索タブ → DM画面の検索窓 |
| 機能が当社の端末に出なかった | 第3話:投稿画面の「Write with Meta AI」/第7話:ストーリーズの背景差し替え |
| 細部が違った | 第6話:画像生成で「複数パターン」と書いていたが、実際に返ってきたのは1枚 |
| 手順どおり動いた | 第4話:チャットへの写真添付/第9話:Facebookアプリからの呼び出し |
なお、機能が出なかった理由(地域、アカウントの種類、段階的な提供など)は特定できていません。記事でも理由は断定せず、「2026年10月時点で当社の端末では表示されなかった」という事実だけを書く方針にしました。
直すときに決めた3つのルール
- 古い記述を黙って消さない:記事の冒頭に「いつ、何を、なぜ直したか」を書く。以前の記事を読んだ人が混乱しないためです
- 確認日と環境を書く:「2026年10月4日・Instagram 449・Android 15で確認」のように、読者が自分の画面と比べられるようにする
- イラストより実機画面:手順を説明するイラストは、画面が変わると嘘になります。入口の説明は実機のスクリーンショットに差し替えました
第2話はこの3つのルールで書き直し、依頼から訂正の公開まで約1時間で終わりました。
AIの回答に出典不明の数字が混ざっていた
確認の途中で、Meta AIに投稿アイデアを頼んだところ、回答の中に「美容師127名調査で…」という一文がありました。調査名も出典も書かれていません。こうした数字を投稿にそのまま載せると、根拠のない数字を広めることになります。AIの回答は「たたき台」として使い、数字は必ず裏取りする。今回、それを実例で記事に書き足せました。

AIで記事を作る会社こそ「実機確認」を仕組みにする
AIの下書きは「書いた時点」の情報
AIは、公開されている情報をもとに文章を作ります。アプリの画面は数か月単位で変わるので、書いた時点では正しくても、半年後には古くなります。AIで記事を量産するほど、古くなる記事も増えます。だからこそ、定期的に実物で確かめる工程を最初から組み込んでおく必要があります。
確かめる工程もAIに任せられる
今回わかったのは、「確かめる」作業そのものもAIにかなり任せられることです。記事から主張を抜き出し、画面と照合し、食い違いを一覧にする。人がやると1話ずつ画面を見比べる地道な作業ですが、AIは10話分を一晩で照合しました。人は、出てきた一覧を見て「どれから直すか」を決めるだけです。
ただし規約の線引きは確認してから
注意点もあります。Instagram・Facebook・X・TikTokなどの利用規約には、自動化された手段でサービスにアクセスすることを禁じる条項があります。AIに端末を操作させる方法は、この条項に当たる可能性があります。当社は、配信専用のアカウントに限り、停止されるリスクを理解したうえで検証に使うと決めました。同じことをする場合は、各サービスの規約を確認し、メインのアカウントでは行わないことをおすすめします。手で確かめるだけでも、この記事の方法の大半は再現できます。
自社で真似するなら
手で確かめる場合
- 操作手順を書いた記事・マニュアルを一覧にする(AIに「手順が書かれている記事を抜き出して」と頼むと早い)
- 1本ずつ、書いてある画面とボタンが実際にあるかを確かめる
- 合わなかった箇所をスクリーンショットで残し、確認日とアプリのバージョンをメモする
- 直すときは、冒頭に更新日と変更点を書く
AIに任せる範囲
主張の抜き出し、照合結果の一覧化、修正文の下書きは、AIに任せて問題ありません。一方で、どの端末・アカウントを使うか、規約をどう判断するか、公開するかどうかは、経営者が決めるべきです。当社では、AIが作った修正案を見て公開を決める流れにしています。
どのくらいの頻度で確かめるか
アプリの画面が変わる頻度を考えると、操作手順の記事は半年に1回は確かめたいところです。今回の第2話は、公開から約半年で入口が変わっていました。よく読まれている記事から順に確かめると、読者への影響を早く小さくできます。
まとめ
- AIで書いた操作手順の記事は、アプリの画面が変わると半年ほどで古くなることがある
- 当社のMeta AI連載では、最も読まれていた回の入口が「検索タブ」から「DM画面の検索窓」に移っていた
- 記事からの主張の抜き出し、実機との照合、食い違いの一覧化はAIに任せられる。どれを直すか、規約をどう考えるかは人が決める
- 直すときは、更新の経緯・確認日・環境を書き、手順はイラストより実機画面で示す
- SNSの利用規約には自動操作の禁止条項がある。AIに端末を操作させるなら、規約を確認し、メインのアカウントでは行わない
よくある質問
Q1. AIに実機を操作させるのに、プログラミングの知識は必要ですか?
A. 当社の代表はエンジニアではありません。今回、端末を無線でつなぐ設定もAIが進め、代表がやったのはネットワークの招待を承認するボタンを1回押すことだけでした。操作の指示はすべて日本語です。
Q2. スクリーンショットを記事に載せても問題ありませんか?
A. 当社では、画面を改変しない、ロゴを主役にしない、出典と撮影日を書く、他人の投稿やアカウント名を写さない、という条件で載せています。各社のブランドガイドラインを確認したうえでの社内判断です。法的な最終判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。
Q3. 記事が古くなっていないか、どこから確かめればいいですか?
A. アクセスの多い記事のうち、「〇〇を押す」「〇〇画面を開く」のような操作手順を含むものから確かめるのがおすすめです。古くなったときに読者が困る度合いが大きいからです。
Q4. Meta AIに質問するとき、気をつけることは?
A. MetaのAI利用規約には、AIと共有した情報は保持・使用されることがあると書かれています。お客様の名前や連絡先、社内の情報は入れないでください。当社も検証には架空の文面だけを使いました。
参考:インスタのMeta AIの使い方(訂正後の第2話)/Meta AI利用規約/Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」
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この記事の作り方 本文はAIが下書きを作り、当社代表が内容を確認・修正したうえで公開しています。図版の一部もAIで生成しています。当社はAIを業務に組み込んで経営している会社で、記事もその実践の一部です。

